DNAやRNA実験関連でよく使う試薬の調製方法
Tris-HClバッファー
Tris | 12.1 g |
ミリQ水 | 80ml |
メスアップ | 100ml |
1. 80 mLのミリQ水に12.1 gのTrisを溶かす。
2. スターラーで撹拌しながら塩酸を加え、目的のpHに調製する。
発熱するため、正しくpHを合わせるためにはあせって調製しないこと。
10xPBS(-)
リン酸二水素カリウム(KH2PO4) | 2g |
塩化カリウム(KCl) | 2g |
リン酸水素二ナトリウム12水和物(H25Na2O16P) | 29g |
塩化ナトリウム(NaCl) | 80g |
メスアップ | 1000ml |
PBS (Phosphate Buffered Saline; リン酸緩衝食塩水)にカルシウムとマグネシウムを含まないものをPBS(-)と表記する。
1. 2 gのリン酸二水素カリウム、2 gの塩化カリウム、29 gのリン酸水素二ナトリウム12水和物、80 gの塩化ナトリウムを1 Lの蒸留水に溶かし、オートクレーブする。
2. 室温で保存可能。
カルシウムとマグネシウムを含むPBS(+)では、オートクレーブできないのでフィルトレーションする。10xPBS(+)の調製は、1.33 gの塩化カルシウム二水和物、及び1 gの塩化マグネシウム六水和物を上記の物質に加え、1 Lの蒸留水に溶かし、フィルトレーションする。
5N 水酸化ナトリウム溶液
水酸化ナトリウム (NaOH, MW = 40.00) | 20g |
蒸留水 | 70ml |
メスアップ | 100ml |
1. 70 mL程度の蒸留水をビーカーに入れ、水酸化ナトリウム20 gを加えて、スターラーなどで完全に溶かす。
2. 100 mLになるようにメスアップする。
溶液は室温保存。オートクレーブはしない。強アルカリにつき腐食性があるので、取り扱いには十分注意して行うこと。
1M DTT
DTT (Dithiothreitol) | 7.8g |
メスアップ | 50ml |
1. 7.8 gのDTTを50 mLのチューブに入れ、ミリQ水を加えて溶かす。
2. 50 mLにメスアップする。
3. -20°Cで保存。
0.5 M EDTA pH8.0
EDTA二ナトリウム二水和物(EDTA・2Na・2H2O, MW = 372.24) | 18.6g |
ミリQ水 | 70ml |
メスアップ | 100ml |
EDTAはメタロプロテアーゼの阻害剤で、1~10 uMの濃度で作用する。
1. 18.6 gのEDTA二ナトリウム二水和物(EDTA・2Na・2H2O)を70 mLの純水に溶かす。
2. 溶液を撹拌しながらpHを測定し、ペレットの水酸化ナトリウムを少しずつ加え、pHを8.0に近づける。
3. 5N 水酸化ナトリウム溶液を少しずつ加え、pHを8.0に調製する。
4. 100 mLにメスアップする。
溶液は冷蔵保存する。
TEバッファー
1M Tris-HClバッファー pH 8.0 | 1ml |
0.5M EDTA pH 8.0 | 0.2ml |
メスアップ | 100ml |
1. 1 mLの1M Tris-HClバッファー (pH 8.0)と0.2 mLの0.5M EDTA (pH 8.0)を蒸留水と混合し、100 mLになるようにメスアップする。
2. オートクレーブする。
3. 室温か冷蔵庫で保存する。
フェノールクロロホルム
クロロホルム | 49ml |
フェノール | 50ml |
イソアミルアルコール | 1ml |
1. 49 mLのクロロホルムに1 mLのイソアミルアルコールを混合する。
2. フェノールを加え混合する。
3. 遮光し冷蔵保存。
5M 塩化ナトリウム溶液
塩化ナトリウム(NaCl, MW = 58.44) | 14.61g |
ミリQ水 | 40ml |
メスアップ | 50ml |
1. 40 mLのミリQ水に14.61 gの塩化ナトリウムを完全に溶かす。
2. 50 mLになるようにメスアップする。
3. オートクレーブ後、室温保存する。
3M 酢酸ナトリウム溶液 (pH5.2)
酢酸ナトリウム三水和物 | 40.8g |
酢酸 | pH調製時に使用 |
メスアップ | 100ml |
3M 酢酸ナトリウム溶液 (pH5.2)は、エタノール沈殿に用いられる。
1. 90 mLの蒸留水に40.8 gの酢酸ナトリウム三水和物を溶かす。
2. 撹拌しながら酢酸を少しずつ加え、pHを5.2に調製する。
3. 100 mLにメスアップする。
4. オートクレーブ後、室温で保存する。
50xTAE
Tris | 242g |
酢酸 | 57.1ml |
EDTA二ナトリウム二水和物 | 18.6g |
メスアップ | 1000ml |
TAEは、アガロース電気泳動用のバッファーとして用いられる。
1. 適当量の蒸留水をビーカーに入れ、242 gのTris、57.1 mL の酢酸、18.6 gのEDTA二ナトリウム二水和物を加えて溶かす。
2. 蒸留水で1000 mLにメスアップする。オートクレーブはしなくてよい。
10xTBE
ホウ酸 | 55g |
Tris | 108g |
EDTA二ナトリウム二水和物 | 7.4g |
メスアップ | 1000ml |
TBEは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動の泳動バッファーに用いられる。
1. 適当量の蒸留水をビーカーに入れ、108 gのTris、55 gのホウ酸、7.4 gのEDTA二ナトリウム二水和物を加えて溶かす。
2. 蒸留水で1000 mLにメスアップする。オートクレーブはしなくてよい。
10×MOPS
MOPS | 41.9g |
3M 酢酸ナトリウム溶液 | 16.6ml |
0.5M EDTA | 20ml |
メスアップ | 1000ml |
10xMOPSバッファーは、ノザンブロッティングに用いられる。
1. 41.9 gのMOPSをRNA用のミリQ水に溶かす。
2. 水酸化ナトリウムでpHを7.0に調製する。
3. 16.6 mLの3M 酢酸ナトリウム溶液と20 mLの0.5M EDTAを加え、1 Lにメスアップする。オートクレーブはしないで室温保存。滅菌を行う場合は0.2 um のフィルターを使用する。
20xSSC
塩化ナトリウム | 175.3g |
クエン酸ナトリウム | 88.2g |
1. 175.3 gの塩化ナトリウムと88.2 gのクエン酸ナトリウムをミリQ水に溶かす。
2. 塩酸でpHを7.0に調製する。
3. 1 Lにメスアップする。
エチジウムブロマイド溶液
エチジウムブロマイド | 100mg |
蒸留水 | 10ml |
エチジウムブロマイド(EtBr; 臭化エチジウム)はインターカレーター(intercalator)であり、核酸染色剤として分子生物学の分野で頻繁に使われる。紫外線を当てると赤橙色の蛍光を発する。
ストック溶液は10 mg/mLに調製し、室温で遮光保存する。
100 mgのエチジウムブロマイドを10 mLの蒸留水に溶かす。操作はグローブを着用して行うこと。