培地作りと大腸菌の取り扱い
大腸菌は、プラスミドDNAを増幅したり目的タンパク質を発現させるために用いられる。大腸菌が増殖する環境は、雑菌やカビなども繁殖しやすいので、培養する際にはコンタミ(contamination; 雑菌混入)しないように操作する。
使用する器具や試薬は、オートクレーブ、乾熱滅菌、火炎滅菌、紫外線殺菌、エタノール殺菌等により、雑菌の増殖の防止を心掛ける。
減菌(殺菌)の方法の確認
オートクレーブ、乾熱滅菌、火炎滅菌、紫外線殺菌、エタノール殺菌の方法とタイミングを確認しておこう。
エタノールを殺菌しようとしてエタノールに火を付けないこと(以前、そんなことをしてる子がいた)。
LB液体培地を作る。
形質転換した大腸菌は、培地に抗生物質を添加して培養する。
1. トリプトン10g、イーストエクストラクト5g、NaCl10gを1 Lの蒸留水に完全に溶かす(LB培地)。
2. 必要に応じ、試験管やフラスコに分注し、アルミホイルで口を覆い、オートクレーブテープを貼る。
3. オートクレーブし、室温、あるいは冷蔵保存する。
抗生物質入りのLB寒天培地を作る。
1. 三角フラスコを用いて、トリプトン10g、イーストエクストラクト5g、NaCl10gを1 Lの蒸留水で完全に溶かし、15gのアガーを加える。
2. オートクレーブ後、手で触れられる温度になるまで冷ます。
3. ベンチの上を70%EtOHで清め、10cmディッシュを用意する。
4. 減菌操作(ガスバーナーを利用したコンタミ防止操作)により抗生物質を加え、培地をよく混ぜる。
5. フラスコを斜めに傾け、アルミホイルを外し、注ぎ口をバーナーで炙る。
6. 培地がなくなるまでフラスコを斜めに傾けたままディッシュに分注していく。
7. 固まったら裏返してふたの上に少しずらして置いておく(少し水分をとばすため)。
8. 適当なタイミングで回収し、ビニル袋に入れて冷蔵庫に保存する。
オートクレーブしたばかりのあっちんちんのフラスコを水道水で冷やしたり、フラスコを振ったりすると、割れたり内容物が突沸して大火傷を負うこともあるので、単純な作業の中にも慎重さが必要だということを忘れてはいけない。
添加した抗生物質、作成者、作成日は必ず明記する。